親に甘えたくても甘えられず 恐怖することだけで成長してきた人はどうしても神経過敏になる
小さい子供が親に甘えるということは 何も気兼ねしないでとっぷりと情緒的一体感に浸れる ということである
ところが 親が情緒的に不安定な人だと たとえ表面上子供は甘えていても いつその一体感が壊れるかわからない
自分のちょっとした言葉遣いで急に親は不機嫌になるかもしれない
そこで行動としては 一見 甘えているようでも 子供はたえずびくびくと緊張していることになる
このような緊張のなかで 子供の側にどのような行動があってもそれは心から甘えていることにはならない
そのような子供は甘えたくても甘えられない緊張感と不安のなかで成長し 社会人となっても対人的に神経過敏になる
神経過敏な人間になっていくのは 反発することも 甘えて一体感にひたることもどちらもできない幼年時代 少年少女時代を送ってきた人だろう。
我々が自立するためには 一回とっぷりと甘えて一体感にひたり そこからひとり立ちしていくという過程が必要である
神経過敏な人はこのような過程をもてなかった人である
つまり この世のなかのどことも繋がっていない人である
神経過敏な人は根本的なところで人と離れている
幼児のころ 根本がしっかりと親に結び付き 成長してその根本が特定の場所から離れて一般的な世界そのものに結び付いていくとき 人は自立できたとか 精神的に成長したとかいうのである
神経過敏な人はその根をおろすべき共同体を持てないでいるのである